桃の栽培技術品質で常に他県の一歩先を行く伝統の山梨一宮

【1月~3月 枝の剪定】

桃の木は1年でとても成長し、枝をどんどんと伸ばしていきます。それを放置しておくと木の幹に光が当たらず、枯れていってしまいます。


先端の方は元気でも幹が枯れてしまっては美味しく、大きな桃はできなくなってしまいます。だから剪定をして木の枝一本一本に光を当たるようにしてあげるのです。


そのことを頭に入れながら、力のある木(太い枝・養分を多く吸い上げる枝)を残し力のない木(弱っている・細い枝)を切っていきます。


【4月 摘蕾】

桃の摘蕾とは、桃の木の枝から芽生えてくる蕾の数を取り除いて蕾の数を調整することです。


摘蕾によって桃の木の根から送られてくる栄養素や旨味となる成分を集中的に果実に送り届けることを可能とします。


同じ長さでも日当たりの良い枝と良くない枝では、程度を加減します。


日当たりの悪い枝はやや少なめに花蕾を残し、徒長枝で真上に伸びている枝などは、摘蕾しないか上芽を摘蕾する程度とします。

【4月 受粉・交配】

春になり、開花の時期となると交配と呼ばれる作業となります。浅間白桃、ゆうぞら、川中島白桃など花粉のない品種は、同じ品種同士で花粉を受粉することができません。


そのため、手によって人工的に授粉をおこなう必要があります。春の開花の時期に別な品種の花を大量に取り集め、容器に移し替えたものを大きな綿棒を使用して授粉作業をおこなうのです。

【5月 摘果】

要領は摘蕾と同じですが、摘蕾で取りきれなかった蕾から果実を取り除くことで、木がそれぞれに送る栄養成分をコントロールします。

【6月 袋かけ】

有袋は、桃の表面を強風や強い日差しから保護しますので、自然の傷や亀裂などを最小限に抑えることが可能です。また、病害虫による外敵による 被害も抑えることができ、葉面散布の量や回数も最小限におさえることができます。


更には、緑色をした葉緑素を退化させることができるので、桃全体の色味もきれいになります。しかしながら、有袋の場合は無袋品種の甘み・旨味でやや劣ります。


また、桃の樹1本当りの最終着果量は樹齢、樹勢、品種、圃場の土質、樹の仕立て方、その年の天候などによって異なってきます。同じ圃場の同じ品種であっても、1本1本、樹の性質が違いますから、それぞれの樹に合わせた対応が必要です。

【7月 8月 収穫期】

除袋を終えるといよいよ最後の作業を行います。反射シート(シルバーシート)を畑に敷き、太陽の光を反射させて桃の実に当たるようにします。


こうすることで日光が当たった実は黄色から赤く色が変化していきます。この作業を通称「シルバー」、「シルバー敷き」と呼びます。


除袋作業から約1週間、ついに収穫の時、タイミングの見極めが大切です。大きさだけでなく、特に色で判断することがポイントです。


桃が全体的に赤色に色付いたら収穫の合図です。

【9月 徒長管理】

徒長枝があると日光が当たりにくくなり着色が悪くなるのと光合成を邪魔して美味しい桃が出来なくなるので枝を切って日光が当たるようにします。


また、樹の状態を見たり樹勢状態の確認を行います。


樹勢が低下してきた場合はせん定を強めに、行い成木で長果枝や徒長枝の割合が多い場合は、せん定程度を軽くすると同時に肥料の質や量は適当かなども検討していきます。


【10月~12月 肥料設計、枝の剪定、木の改植、肥料まき、土づくり】

土壌の生産力は、その肥料養分やPHなどの化学的要素(化学性)、通気性や排水性などの物理的要素(物理性)、土壌微生物や土壌動物の生息状況などの生物的要素(生物性)から成り立っております。


土壌の生産力は、それらが総合されたものであり、その違いは、生産力(地力)の差として現れるため、土作りはとても大切なのです。


このように1つの桃ができるまでにいくつもの作業があり、たくさんの手間がかかっています。


特に桃は天候に左右されやすく、栽培の難しい果物です。毎年、桃農家の人たちは丹精込めて、品質や味を守りながらつくっています。